ズバ抜けて個性的な「現代音楽」「17拍子」それって何?――サクライケンタ インタビュー
2018/11/21 インタビュー
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5拍子や7拍子、ときには17拍子。
変拍子を用いた複雑な楽曲を数多く制作しながらも、それを誰にでも聴きやすいポップスとして成立させ、なおかつガールズグループに歌わせるという離れ業。
Maison book girl(ブクガ)の全面プロデュースなどで知られるサクライケンタは、異質な世界観を築き上げている。
自身の作る音楽について、どのような考えを持っているのか。
冒頭に17拍子のリズムが使われている「lost AGE」
やりたいことを自由に、ちょっとポップに
――サクライさんの作る曲は、複雑ながらポップでもあることが特徴だと思います。それは自分の好みとして入れているのか、聴きやすくするために入れているのか、どちらですか?
昔はむりやりポップ要素を入れて聴きやすくする感じだったんですけど、年々自然にできるようになってきましたね。特にブクガに関しては、自分のやりたいことの気持ちいいバランスをうまく取れるようになってきました。でも今回のアルバム(「yume」) は、完成したら少し重めの感じになってしまった気がしていて。
――むしろポップになったというか、より旋律が美しくなった印象を受けました。
それはよかったです。メンバーの歌自体もよくなってきたので、ちゃんと言葉を聴かせることは意識しました。
――サクライさんの作る音楽は難解な「現代音楽」(※)とポップミュージックを融合させた「現音ポップ」と呼ばれています。音楽に詳しくない人向けに、具体的にどんなものかを教えてもらえますか?
※現代音楽…実験音楽、芸術音楽とも呼ばれる。一般的な音楽の枠組みにとらわれず、リズムが複雑、メロディーがない、不協和音が入るなどの特徴がある。
たぶん「現代音楽」って自由なことだと思うんです。既存の型にとらわれず、やりたいことを自由にやれるジャンルというか。ある意味ジャンルがないとも言えるのかもしれないです。でも、それだけだと多くの人には聴いてもらえないので、ちょっとポップに、聴きやすくすることは意識してます。
――現代音楽はいつから聴くようになったんですか?
高校をやめたころ友だちになった、ライブハウスの店長みたいな人にいろいろ教えてもらったものに、現代音楽も入っていて。いちばん自分にしっくりきたのがスティーブ・ライヒ(※)だったんです。
※スティーブ・ライヒ…1936年アメリカ生まれの作曲家。「最も独創的な音楽思想家」と言われている。
「ながら聴き」で気持ちよく聴けるものが
――サクライさんはどうやって曲を作っているんですか?
まずアコギで原型を作って、そこから広げていくことが多いですね。最近は鍵盤のフレーズから作ることも多いです。
――変拍子の場合は、どの段階でリズムは決まるんですか?
そのアコギで気持ちいいなと思うリフを作っている段階で、よくわかんない拍子の状態にはなってて。それを改めてパソコンで何分の何拍子とか打ち込んで、ドラムから作っていくことが多いです。今回のアルバムは4/4拍子の曲も多いですけどね。
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――歌詞については、ブクガのメンバーにも深く教えてないそうですが、サクライさんの実体験も反映されているんですか?
実体験と重なるものもあると思うんですけど、半々くらいじゃないですかね。それに実体験が基にはなっているけど、それをさらに広げていったものもありますし。
――正直、解釈の難しい歌詞も多いですけど、サクライさん自身は何か具体的なものをイメージして書いているんですか?
曲にもよりますね。その曲の鳴ってる音からイメージが膨らむことも多いです。先に詞を書くことはあまりないので。「部屋」とか「時計台」とか、世界観を作るうえでテーマにする歌詞のモチーフは大切にしてます。
――言葉にするのはむずかしいかもしれないですけど、サクライさんのなかでいい音楽の定義とは?
なんですかね…。たとえばこの空間に曲を流したら、その場の空気が変わるような音楽というか。あと、僕は基本的に移動中にしか音楽を聴かないんですけど、「ながら聴き」で気持ちよく聴けるものが好きかもしれないです。
(取材・文=タナカヒロシ/写真=石垣星児[BLOCKBUSTER])
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■sessions(写真コンテンツ)
コショージメグミ(Maison book girl)- sessions 003
和田 輪(Maison book girl)- sessions 003
井上 唯(Maison book girl)- sessions 003
矢川 葵(Maison book girl)- sessions 003
■quickbite(動画インタビュー)
Maison book girl – quickbite 003
[PROFILE]
サクライケンタ
大阪府生まれ。音楽家。株式会社ekoms代表取締役社長。2014年に始動したMaison book girlのほかに、2016年にはピエール中野(凛として時雨)らによるバンド、カオティック・スピードキングにギタリストとして加入。大森靖子のバンドメンバーやアレンジも務める。同社ではクマリデパートやZOCも所属。楽曲提供として二丁目の魁カミングアウトや他アーティスト、映像のBGM制作も精力的に行う。
Maison book girl(メゾンブックガール)
矢川葵、井上唯、和田輪、コショージメグミによる4人組グループ。サクライケンタが楽曲から世界観構築まで全面プロデュースを行い、2014年に結成、2016年11月メジャーデビュー。2018年5月にはイギリスで行われた国際音楽フェス「THE GREAT ESCAPE FESTIVAL2018」に日本代表として出演。
■公式サイト:http://www.maisonbookgirl.com/
[リリース情報]
Maison book girl 「yume」
2018年11月21日(水)発売
■特設サイト:http://www.maisonbookgirl.com/yume/
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価格:4,860円(税込)
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価格:3,240円(税込)
[イベント情報]
ワンマンライブ「Solitude Hotel 6F hiru」「 Solitude Hotel 6F yoru」
・日時:11月25日(日)
Solitude Hotel 6F hiru 12:00 OPEN / 13:00 START 立見
Solitude Hotel 6F yoru 18:00 OPEN / 19:00 START 座席指定
・会場:日本橋三井ホール
・チケット:前売り4,500円/ 当日5,000円
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