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バンドすら辞めたかった4年前、不安や畏怖を超えた今、2つの栞――寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game) インタビュー

sponsored by ビクターエンタテインメント

 

Ivy to Fraudulent Gameの新作シングル「Memento Mori」

ラテン語の警句「いつか自分が死ぬことを忘れるな」をタイトルに冠したこの作品には、バンドとして大きく前進することになるであろう表題曲とともに、フロントマン寺口宣明がバンドすら辞めようとしていた4年前に作り上げた「低迷」が収録されている。

「Memento Mori」と「低迷」、表裏一体となる作品に込めた想いを聞いた。

 

――昔のIvy to Fraudulent Game(以下Ivy)から成長した部分が「Memento Mori」に詰め込まれているんじゃないかなと感じました。

そうですね。福島(由也 Dr/Cho。Ivyのほぼ全ての楽曲の作詞・作曲を担当)がこの曲を作っときのテーマが「普遍性」だったんですよ。誰が聴いたとしても、「伝わりやすい」というのを意識して作ってくれた。1枚目のシングル(Parallel)は「自分たちらしさ」を前面に出した曲だったんですけど、今回はさらに多くの人に届いた時に聴きやすい曲調ですね。

――曲調はすごくポップですけど、歌詞は非常に深いですよね。

曲調とは相反してとっつきにくいテーマの歌詞だと思います。でも、誰にでもありえる、究極の普遍って「死が待っている」ことじゃないですか?聴く人によっては。「あの曲、アップテンポで聴きやすい」という人もいれば、「テーマ重いよね」という引っかかりがある人もいる。

 

――そう思います。この曲を歌う際に今までの曲と違いはありましたか?

軽く聴こえたらいけない曲というか。曲調と相反して歌詞を表現するとなったら、(力を)抜きすぎたら軽く聴こえてしまうというのがあったので、わざとデモより半音上げてギリギリをついて歌ったんですよね。歌詞に引っ張られて、それをどう表現するかというときに必死感、もがいている感が欲しくて。

 

――必死って「必ず死ぬ」って書く、まさに「Memento Mori」ですね。

そうですね、その感じを込められなかったら軽く聴こえてしまうんだろうな、と。

 

――今回、作詞は福島さんですが、以前、寺口さんが歌うときに自分が嘘にならないよう歌詞を変えていくときもあると伺いました。今回、歌詞に関しては変更点はありましたか?

最後のサビの折り返し「笑ってみせて欲しい」はもともと「笑ってみせるがいい」の繰り返しだったんですよ。でも、自分のために歌っているところから、一回、「大丈夫なんだよ」っていう優しさを見せたかったので変えてもらいました。

 

――確かに、Cメロ辺りから一人称の歌が他人のための歌に変わるという印象を受けました。

最近、こういうことが増えてきたかもしれないですね。最初は本当にちょっとした歌詞の言い回しで、例えば「やってきたんだよ」を「やってきたのさ」に変えると言う感じだったんですけど。そこからどんどん、「俺が歌うんだから、俺だったらこう言いたい」というのが出てきたんですよね。

 

――サビの「あらゆる不安や畏怖の意味の無さ」ってすごい言葉だと思うんですけど、ご自身で「不安や畏怖」を感じることはありますか?

 常にそんなもんだらけなんですよね。怖いものがない時って、本当にライブで歌って、空気が全部自分のものになって、お客さんも全部自分の方を見ているときは「俺がこの世で一番」と思える瞬間はありますけど。それ以外のときってバンドのことでも生きていく人生も考える年齢になってきて、そんなもんにまみれている。怖さがゆえに今の場所に止まろうとしてしまうことってあると思うんですよ。

――なるほど、先に進んだとしてもどうなるかわからない恐怖のような

でも、究極言えば、あっという間に死に向かって走って、時は流れているし年はとっていく。いつか俺も誰もが死んでいくんだから。そこまで考えてしまえば、失敗や不安や怖さってちっぽけなんじゃないか。自分の中で膨らんでいるだけなんじゃないか。まとわりついてくるものも、何をやっても死んでいくんだからと考えてしまえば、吹っ切れて。前に足を出すしかないと思える。ある意味すごくポジティブな歌なんですよね。

 

――バンドとしても全体的に殻が破けそうなタイミングですね。カップリングの「低迷」は寺口さんの楽曲です。「Memento Mori」と表裏一体に受け取れる曲だと思ったんですが。不安と畏怖を越えていく「Memento Mori」とその中で立ち止まっている「低迷」のように。

その通りですね。この曲ができたのは実は4年前で、バンドでは一回もやったことはなかったんですけど。自分が落ちきっていたタイミングで、バンドも辞めたいし、でも辞めたって俺は何もできないし。誰にも会いたくないなぁ、とか。部屋の中にずっといるような。ただ日が昇って日が落ちていくだけの日々の中で。

でもやっぱりそういう中にいると、「誰にも会いたくない」と言いつつ、何か助けを求めている自分がいたりするんですよ。やっぱりそこで「自分は弱いな」と思ったし、それを音楽にしてみようと思っちゃうってことは「俺は音楽が好きなんだな」って。

このタイミングで「低迷」をバンドサウンドにして、結果的にこのシングルに入ってくれたことが価値を持たせてくれたな、と思います。

 

――「生きる意味なんてない」「死ぬ理由だってない」という歌詞はまさに立ち止まっている自分だと思うんですけど。その後に、「明日だって 生きていくから 手を繋いで」って人に助けを求めるのがすごく印象的だし、前に進んでいける曲だと感じました。

 実はその行はずっと「手を繋いで」のリフレイン(繰り返し)だったんですよ。この曲をバンドでやったときに、自分はもっと暗いアレンジになると思っていたんです。でも、聴いた感じ包み込むような白い光のような曲になったから。

今、4年前を思い出すと確かに辛かったけど、今こうやって音楽をやっているし、生きているし、って考えたときにこの行を入れたいな、と思って。4年前を今見て出来た行というか。

――4年という時間を経てバンドサウンドとして生まれ変わって、ステージで歌っているときは前に進んでいるなと思いました。もはや別の歌になったとも思えるのですが。

そうですね。でも、歌って「栞」だと思っていて。生きていく中で、曲を聴いた時に記憶となって、その時の匂いや、思い出せなかった人の顔が浮かんでくるというか。そういう意味で「低迷」もすごく大きな意味を持つ栞の一枚だな、と思って。

確かにあの時は「こんな日々すぐにいなくなって欲しい」と思っていたんですけど、今見ると、大切な時期だったなと、価値があったって思えるのはこの曲があるからで。歌った時に思い出せるし、聴いた時に思い出せる。リスナーとしてもそうだし、歌う人間としてもその時代に戻してくれる曲だと思います。

 

■sessions(写真コンテンツ)
寺口 宣明(Ivy to Fraudulent Game)- sessions 004

 


[PROFILE]
Ivy to Fraudulent Game(アイヴィー・トゥ・フロウジュレント・ゲーム)
2010年10月に群馬県にて結成された4任組ロックバンド。メンバーは福島由也(Dr/Cho)、寺口宣明(Vo/Gt)、カワイリョウタロウ(Ba/Cho)、大島知起(Gt)。楽曲の世界観をリアルに表現する寺口の歌を軸としたライブパフォーマンスの圧倒的な求心力で多くのファンを魅了する。
■公式サイト:http://www.ivytofraudulentgame.com/

 


[リリース情報]
Ivy to Fraudulent Game 「Memento Mori」
2019年1月30日(水)発売

・完全生産限定盤
価格:1,980円(税抜)
仕様:CD+DVD(※6/23ワンマン映像フル)

・通常盤
価格:1,200円(税抜)

 


[イベント情報]
one-man tour 2019
2019年2月2日(土) 新潟CLUB RIVERST
2019年2月3日(日) 仙台CLUB JUNK BOX
2019年2月10日(日) 札幌cube garden
2019年2月16日(土) 高松DIME
2019年2月23日(土) 福岡BEAT STATION
2019年2月24日(日) 広島CAVE-BE
2019年3月2日(土) 大阪BIG CAT
2019年3月3日(日) 名古屋CLUB QUATTRO
2019年3月10日(日) 新木場STUDIO COAST

TsukuraYuma
Founder / CEO
津倉 悠槙

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