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ろくに学校に通わず、ひたすら音楽だけをやっていたら、どんな大人に育つのか。――サクライケンタ インタビュー

sponsored by ポニーキャニオン

 

ろくに学校に通わず、ひたすら音楽だけをやっていたら、どんな大人に育つのか。

小学4年から学校へ行かなくなり、高校も数日でやめた。
独学で音楽をはじめて十数年後、難解な曲調とポップミュージックを融合させる、特異な音楽家として知られるようになった。

現在はMaison book girl(ブクガ)のトータルプロデュースを手がけ、天才との呼び声も高い気鋭のクリエーターとして活躍している、サクライケンタ。

しかし一方、うつ病で苦しんだ時期もあり、症状が悪化した際には世間を騒然とさせたこともあった。
彼は何者なのか。

ろくに学校に通わず、ひたすら音楽だけをやっていたら、どんな大人に育つのか。――サクライケンタ インタビュー

音楽と直結している感じはしないけど

――サクライさんが学校に行かなくなった理由は?

小学校4年くらいのときに、ドラムを習い始めたんです。それで、学校に行くよりもやりたいことをやったほうが楽しかっただけで。

同じころにギターももらって、家で練習したり、普通にNHKを見たり。中学生になってMTR(マルチトラックレコーダー)を買ってもらってからは、曲作りするか、ゲームするかという生活でした。

 

――親から「学校に行きなさい」とは言われなかったんですか?

それはなかったんですけど、心配はしていたと思います。親に一緒に出かけようと言われて、よくわからないところに連れて行かれて、絵を描かされたことがあって。

 

――精神鑑定みたいな?

女の子と男の子を描いてくださいとか、家族を描いてくださいとか。言われるがまま描いたんですけど、心配されていたのかなって。なんとなく記憶にあります。

 

――そこからどうやって作曲の仕事をするようになったんですか?

ハタチくらいになると、芸術系なことをやっている友だちが増えて、そのつながりで広告代理店の人とも知り合うようになったんです。「僕、こんなの作ってるんです」とか聴かせているうちに、仕事に繋がるようになって。

 

――そこからは順調に活動の幅を広げられていったと思うんですけど、うつ病を抱えていた時期もありましたね。

20代中盤くらいかな。はじめにパニック障害みたいな症状が出て、電車に乗れなくなってしまったんです。そこからうつ病を併発して。

そのときは「いずこねこ」をやっていたんですけど、だんだん忙しくなってしんどくて、薬の量も増えました。でも、結局薬でごまかしてるだけなので、ちょっとしたことで溜まっているものが爆発してしまうというか。

ろくに学校に通わず、ひたすら音楽だけをやっていたら、どんな大人に育つのか。――サクライケンタ インタビュー

――薬を飲んでいるうちは治らない的な?

そうなんですよ。薬をなくさないと治らないなと思って、いろいろ病気のことについて調べたり、病院も何回も変えたりして、けっこうむりやり薬を減らして、よくなりました。

まわりの人たちには迷惑や心配をかけてしまったんですけど、理解者もたくさんいたおかげで助けられました。

 

――うつ病と音楽性をつい結びつけたくなっちゃうんですけど、ご自身で感じていることはありますか?

どうなんですかね。音楽と直結している感じはしないですけど、そういう人の気持ちが理解できるようになった部分はありますね。

 

――ブクガは首のない写真が多いし、「レインコートと首の無い鳥」という曲も作られてます。首にこだわりがあるのは昔からですか?

それは芸術的な趣味ですね。メンバーの写真を撮るときも、なぜか顔を隠したくなるんです。映画とか、絵画とか、写真とかも昔から好きで、学生時代に本屋でバイトしていたんですよ。わりと大きめの本屋で、建築とか、デザインとか、芸術関係を取り扱っているフロアにいて。

高価な本しか置いてなかったこともあって、あんまりレジに人が来なくて、ヒマなときに店の本をずっと読んでいたんです。そのときの影響が大きいかもしれない。

それでも社長をやっているのは

――ブクガでは音楽だけではなく、全面的にプロデュースされています。それは音楽以外もやりたいからですか?

そうですね。わりとなんでもやりたいというか。アーティスト写真やグッズのデザインもそうだし、ミュージックビデオもそのときどきの監督と入念に話し合ってて。ひとつひとつのことが全部気になってしまうのはあります。

 

――「音楽家・サクライケンタ」と書かれることが多いですけど、ご自身では肩書きはどう考えられているんですか?

なんですかね。音楽がいちばん、ちょっとお金にできるくらいはがんばれるというか。ただ、プロデューサーという肩書きは違うかなって、最近は強く思ってて。プロデューサーって、何してるかわからないじゃないですか。

 

――名前だけのプロデューサーも、サクライさんくらい全部やってる人もひとくくりにプロデューサーですからね。

それがイヤで、プロデューサーっていう肩書きはあんまり好きじゃないです。

でも、こう呼ばれたいというものがあるわけでもなくて。総合的には芸術家みたいなところを目指しているのかもしれないですけど、なんかいい呼び方があったらくださいっていう感じです。

 

――ちなみに社長でもあるわけじゃないですか。経営もやりたいんですか?

本当は芸術分野だけやりたいです。やっぱり税金のこととかめんどうなので。いまは税理士さんに全部任せてますけど、それでも税金を払いに行ったり、領収書を送ったりしなきゃいけないじゃないですか。

 

――それでも社長をやっているのは、自分で判断したいから?

そうです。僕がやりたいことをやらせてもらえるなら、社長は誰か他の人にやってもらいたいですね。

 

(取材・文=タナカヒロシ/写真=石垣星児[BLOCKBUSTER])

 


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■sessions(写真コンテンツ)
コショージメグミ(Maison book girl)- sessions 003
和田 輪(Maison book girl)- sessions 003
井上 唯(Maison book girl)- sessions 003
矢川 葵(Maison book girl)- sessions 003

■quickbite(動画インタビュー)
Maison book girl – quickbite 003

 


[PROFILE]

サクライケンタ
大阪府生まれ。音楽家。株式会社ekoms代表取締役社長。2014年に始動したMaison book girlのほかに、2016年にはピエール中野(凛として時雨)らによるバンド、カオティック・スピードキングにギタリストとして加入。大森靖子のバンドメンバーやアレンジも務める。同社ではクマリデパートやZOCも所属。楽曲提供として二丁目の魁カミングアウトや他アーティスト、映像のBGM制作も精力的に行う。

Maison book girl(メゾンブックガール)
矢川葵、井上唯、和田輪、コショージメグミによる4人組グループ。サクライケンタが楽曲から世界観構築まで全面プロデュースを行い、2014年に結成、2016年11月メジャーデビュー。2018年5月にはイギリスで行われた国際音楽フェス「THE GREAT ESCAPE FESTIVAL2018」に日本代表として出演。
■公式サイト:http://www.maisonbookgirl.com/

maison book girl|サクッと楽しむ音楽メディア | snacc<

 


[リリース情報]
Maison book girl 「yume」
2018年11月21日(水)発売
■特設サイト:http://www.maisonbookgirl.com/yume/

・Amazon完全生産限定盤
価格:4,860円(税込)
仕様:2CD(CD+AL inst)/LPサイズケース
※Amazonイベント応募用シリアルコード封入
※完全数量限定生産

・完全生産限定盤
価格:6,480円(税込)
仕様:CD+Blu-ray(※6/23ワンマン映像フル)限定仕様ケース

・通常盤
価格:3,240円(税込)

yume|maison book girl|サクッと楽しむ音楽メディア | snacc

 


[イベント情報]
ワンマンライブ「Solitude Hotel 6F hiru」「 Solitude Hotel 6F yoru」
・日時:11月25日(日)
Solitude Hotel 6F hiru 12:00 OPEN / 13:00 START 立見
Solitude Hotel 6F yoru 18:00 OPEN / 19:00 START 座席指定
・会場:日本橋三井ホール
・チケット:前売り4,500円/ 当日5,000円

 

Editor
田島 太陽

編集者。過去に「LoGiRL」(テレビ朝日)記事コンテンツ、AKB48公式アプリ「AiKaBu」、「ももクロくらぶ 秘密の部屋」「anan×乃木坂46 SPECIAL BOOK」などの編集を担当。「ナタリー」「CINRA」「週刊プレイボーイ」「TV Bros.」「Quick Japan」などで執筆。

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