耳元でささやかれる臨場感「バイノーラル録音」って何?
2018/11/16 コラム
1877年に発明王トーマス・エジソンが円柱型アナログレコードを開発したことから始まる録音の歴史。
良い音質を求め日進月歩の録音技術のなかで、最近とりわけ注目を集める技術、それが「バイノーラル録音」です。
この記事では、「バイノーラル録音」と従来の録音との違いを紹介します。
バイノーラル録音とは
「バイノーラル(binaural)」は英語で「両耳の」を意味する形容詞です。
「バイノーラル録音」とは、人間の頭部や耳の構造を模した「ダミーヘッド」と、左右でセットになった「ペアマイク」を用いて録音する技術を指します。
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この録音技法では人間の頭部の音響効果が再現され、鼓膜に届くのと同じ状態で音を記録することができます。
バイノーラルで録音された音源では、右から聞こえた音は右のイヤホンから、左からの音は左から再生され、従来の録音と比べ、自然に近い音が精密に再現されます。そのため、その場にいるかのような臨場感を味わえるということです。
参考動画:
従来の録音技術「モノラル」「ステレオ」とは?
「モノラル」の「mono」とは「単一」を意味します。ひとつのマイクで録音された音源を指し、ステレオスピーカーを使用しても左右から同じ音が流れます。
モノラル音源のメリットは、広い場所で音源を再生する際に、ステレオと違い、何処から聴いても「同じ音」となることです。
次に「ステレオ」ですが、こちらはモノラルと違い、ふたつ以上のマイクを使用した録音を指します。
マイクが複数あると、それぞれのマイクの位置に音が届くまでの時間差が生まれるので、上下左右に広がる立体的な音場が形成されます。
各録音方法にメリットがあり、求める音質によって録音方法は選択されているのです。
バイノーラル録音をより楽しむには
バイノーラル音源の最大の特徴は、目の前で実際に演奏したときの臨場感の再現性の高さにあります。
リアルに再現される街の雑踏や、川のせせらぎ、虫の声といった環境音、話し声の物理的な距離感の臨場感を楽しむには、ヘッドフォン・イヤフォンの使用が必須になります。
バイノーラル音源の場合、イヤフォンよりヘッドフォンのほうが向いているようです。ヘッドフォンは基本的にイヤフォンと比較し音場が広く立体的になるためです。
しかし一概にヘッドフォンがいいと断言できないところがオーディオ界の奥深さ。
ヘッドフォンにせよイヤフォンにせよ、機材によって再現される音域の得手不得手があるので、自分が気持ちいいと思える機材を探してみるのも、音の楽しみ方のひとつと言えるかもしれませんね。
脳がとろける?「ASMR」とは?
バイノーラル録音された音源のジャンルに「ASMR」というものがあります。
「頭がゾワゾワする」「クセになって何度も聞きたくなる」「脳がとろける」と話題になっており、バイノーラルに興味がある方はぜひ聞いてみてはいかがでしょうか。
(佐藤広行)
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