小林幸子、新年のNHKアニメにVTuberとして出演決定。歌ってみた動画やVOCALOID化などこれまでの歩みを総復習
2019/01/02 コラム
2013年9月6日。小林幸子がニコニコ動画に降臨し、歌ってみた動画を投稿した日です。
その後、ニコニコ動画史上最速(2日半)で100万再生を達成します。
歌ってみた動画は読んで字のごとく、既存曲をカバーする様子や音源を動画として投稿するもの。そのような動画を投稿している人たちは「歌い手」と呼ばれます。VOCALOIDが歌うオリジナル曲やアニソンなどがカバーされることが多いのが特徴です。
視聴者もまさか、あの小林幸子がニコニコ動画で歌い手として歌ってみた動画を投稿しているとは思わなかったようで、「釣りだと思ったら本人だった」という展開にコメント欄が沸きました。
動画のタグには「ラスボス」のタグ。彼女がラスボスと呼ばれるようになったのは、あの衣装が関係しています。
紅白歌合戦の風物詩と化していた小林幸子の衣装ですが、どちらかと言えば装置に近く、“着る”というよりも“乗り込む”もの。本人も「自分じゃ動けない」と語るほどに大きく、重量のある衣装です。
そんな衣装に身を包んで熱唱する圧倒的な存在感からいつしかネット民の間で「ラスボス」と呼ばれるようになっていきます。
「自分が面白いと思うことをやる」が信条の彼女は、ニコニコ動画への参戦するとその文化をどんどん吸収していきます。まさにラスボス。
ニコニコ動画らしさをしっかり研究した動画づくり
「【初投稿】ぼくとわたしとニコニコ動画を夏感満載で歌ってみた【幸子】」より
小林には歌手としての半世紀以上のキャリアがあります。代表曲があり、紅白歌合戦にも幾度となく出演してきた、誰が見ても大御所歌手です。
一方、ニコニコ動画に転がっているのは小林の固定観念ではあり得ない曲ばかり。
舌が回らないほどハイスピードで流れる歌詞、息継ぎのタイミングがどこにもないメロディ、広すぎる音域ーー。「人間が歌うことなど一切考慮していない曲にも出会い、最初は困惑した」と、小林は語ります。
さらに「歌ってみた動画」では原曲通りに歌わない文化まであります。
曲名をいじってみたり、替え歌にしてみたり。コラボ相手がいる場合は、前奏や間奏に茶番劇を混ぜることもあります。
難曲もこの通り歌いこなします。
しかも「マカロン食べたい」の部分が「羊羹食べたい」に変えられ、「私は脳漿炸裂バーサン」と宣言した直後に「バーサンで悪かったな」という台詞を挿入。タイトルから歌詞までしっかり“バーサン風”に変更済みです。途中からは自分の歌声をサンプリングしたVOCALOID「sachiko」も登場します。
こうした“ネタ”は主にスタッフ考案で、小林自身が企画しているものではないようです。とはいえ、「バーサン」にされても面白がってOKを出すその度量と適応力、さすがはラスボスと言ったところでしょうか。
「【小林幸子とSachiko】脳漿炸裂バーサン 歌ってみた」より
ラスボスの適応力が発揮されているのは動画内に留まりません。動画概要欄にも茶番劇を突っ込みつつ、原曲へのリスペクトも忘れません。「素敵な本家様」と書き、しっかりURLを貼っていきます。こういう目の届きにくいところにもニコニコ動画に対するリスペクトを漂わせてくるのです。
バーチャルYouTuber化しても気取らなさと柔軟性は変わらない
2018年4月29日に開催された、ニコニコ超会議「超音楽祭」。小林幸子はバーチャルYouTuber(VTuber)のキズナアイとステージに立っています。
ステージに招かれた小林は観客に向かって「皆さんのおばあさん、小林幸子です」と挨拶。ニコニコ動画の視聴者は、基本的に小林よりもかなり歳下です。だから、みんなのおばあさんなんですね。
もちろん、バーチャルYouTuberになっても立ち位置は変わりません。 同日YouTubeに投稿された動画を見てみましょう。
コラボ相手のキズナアイは世界初のVTuber。2018年12月現在、チャンネル登録者数は230万人オーバーと、数あるバーチャルYouTuberのチャンネルの中で最多の視聴者を抱えている“超売れっ子VTuber”です。
こちらも一見すると祖母と孫ほどに歳の離れた二人ですが、小林をキズナアイは「さっちゃん」と呼び、小林はキズナアイを「アイちゃん」と呼ぶ。動画内では友達のような関係性を築いています。
しかし、キズナアイのいないところではしっかり彼女を立てるのがグランドマザー。
芸歴50年以上でもVTuberとしては新人ということで、「バーチャル1年生として大御所キズナアイさんに教えを請うべく一緒に千本桜を歌わせて頂きました」とコメントしています。
やはりニコニコ動画での活動同様、大御所なのに決して気取らず、それどころか新しい文化を楽しんでいる姿がネット民に受け容れられる大きな要因になっているように感じます。
来年の年明けは「NHKバーチャルのど自慢」でラスボスの勇姿を
バーチャルグランドマザーは、2019年1月2日放送されるアニメ「NHKバーチャルのど自慢」への出演も決定しています。
アニメの趣旨はタイトル通り、“のど”に覚えのあるVTuberたちが、のど自慢チャンピオンの座を目指して各々競い合うというもの。毎週日曜日放送の「NHKのど自慢」のバーチャル版です。
話題のVTuberたちの活躍を眺めつつ、VTuber界のラスボスがどう関わってくるのか。紅白でラスボスの姿を拝めなくなった分、来年はこちらに注目したいですね。
【放送時間】
2019年1月2日 23:35~24:20(NHK総合テレビ)
【キャスト】
出演:静凛、鈴木ヒナ、田中ヒメ、月ノ美兎、電脳少女シロ、ときのそら、樋口楓、富士葵、ミライアカリ、YuNiほか
ゲスト:バーチャルグランドマザー小林幸子、キズナアイ
司会:バーチャル小田切千アナウンサー
(恒記)
古い記事へ 新しい記事へ