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ただのお祭りではない! Jリーグ並に熾烈な順位争いの「浅草サンバカーニバル」

2017年の夏。グラミー賞歌手のリアーナがサンバ衣装の自撮りをInstagramに投稿したところ、フォロワーたちから460万件以上もの「いいね」が集まり話題となりました。

彼女が衣装を身に着けていたのは、地元でサンバカーニバルが行われていたため。サンバカーニバルはブラジルを中心にいくつもの地域で恒例行事として浸透していて、ここ日本でもおこなわれています。

浅草サンバカーニバル

毎年8月下旬ごろ東京の浅草で行われ、約50万人もの見物客が集まる「浅草サンバカーニバル」

このイベント、一般的には華やかな夏のお祭りだと見られがちですが、実はチームごとに優勝を争うコンテストの一面もあるのです。

出場チームは結成約30年以上にもなる歴史あるチームから、現役高校生によるチームまで実にさまざま。それぞれが創意工夫を凝らした個性的なダンスを披露しています。

イベント当日にはどのようなことが行われているのか、どんな審査の優劣が決まるのか、簡単に紹介しましょう。

そもそも、サンバチームは何をしているの?

サンバチームはダンサー隊と楽曲隊、カーホ・アレグリア(山車)で構成されており、サンバのリズムに合わせて歌い踊りながら行進するのが一般的です。

「浅草サンバカーニバル」では、グループ内で細かく役割が決まっています。

ダンサー隊の場合、大きなスカートを広げて舞う「バイアーナ」や、男性とペアになってチームの旗を振る「ポルタ・バンデイラ」、楽曲隊の周囲を踊り回る「ハイーニャ・ダ・バテリア」などに分かれています。

それぞれの役割ごとに衣装や踊り方に違いがあるのが特徴です。

中でも一番の華形が、豪華な羽飾り衣装を着ている「パシスタ」。多くの人が「サンバカーニバル」と言われて真っ先に思い浮かべるのがこの「パシスタ」でしょう。

楽曲隊の場合は、タンボリン(タンバリンとは別物のブラジルの打楽器)やスルドといった楽器を扱うリズム隊「バテリア」と、楽曲に合わせて歌う「プシャドール」、全体のテンポを取る指揮者「ジレトール」で構成されており、それぞれのチームが用意したオリジナルのテーマ曲「サンバ・ジ・エンヘード」を演奏します。

このような細かな役割分担は、本場「リオのカーニバル」を参照したもの。それぞれの役割がパフォーマンスを発揮することで、チーム全体の個性が生まれているのです。

審査ポイントはパレードの盛り上がりや表現力

サンバカーニバルは別称「動くオペラ」とも呼ばれ、参加チームごとにパレードのテーマやストーリーなどが決まっています。

そのため、チームごとに衣装や踊り、ダンスなどに大きな違いが見られるのが特徴です。

コンテストの審査点は大きく6つ。「テーマの表現」「躍動感」「衣装」「ダンス」「演奏」「総合評価」で採点され、総合得点で各グループの順位が決まります。

「テーマの表現」は、各チームが事前に表明した出し物のテーマに、演舞がどれだけ沿っているかを評価するものです。

また「躍動感」はパレードのテーマ曲に合わせて、グループ全体がどれほど盛り上がっているかが問われます。観客にも盛り上がりが伝わっているのかも注目されるので、会場全体の一体感が重要です。

「衣装」と「ダンス」は、テーマに沿ったものになっているかが審査のポイント。もちろん、サンバとのマッチ度やデザインセンスなどもチェックされています。

「演奏」では、歌や打楽器、弦楽器などの技術と、テーマ楽曲全体のクオリティの高さが得点となります。

フィギュアスケートのように、スポーツとしての側面と芸術としての側面が混然一体となったものと考えるとイメージしやすいかもしれません。

これらを審査員8名が10点満点で評価し、パレード全体を評価する「総合評価」(100点)を合わせ、最高500点満点で採点しています。

陽気なパレードの裏にある激闘

コンテストは、「S1リーグ」と「S2リーグ」の2リーグ制で、S1リーグで最下位になるとS2リーグへ降格し、S2リーグで優勝するとS1リーグに昇級するという、Jリーグに似たシステムを採っています。

S1リーグは、パレードに参加できる人数が多く、S2リーグでは禁止されているカーホ・アレグリアを使用できるため、より多くの人に演舞をアピールできるのがメリットです。

そのため、毎年常連の参加チームは激しい競争を繰り広げています。会場では、コンテストに臨むメンバーたちの緊張感が伝わってくるはず。

こうしたパレードの裏側を知ることで、サンバカーニバルをより深く楽しむことができるでしょう。

(堀田隆大)

 

Writer
snacc編集部

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