人気アーティストがオフィスの一角で演奏する「NPR Music Tiny Desk Concert」が面白い
2018/11/24 コラム
一風変わった演奏を聞かせてくれるYouTubeチャンネルが、世界的に人気を集めています。その名も『NPR Music Tiny Desk Concert』。
舞台はアメリカにあるラジオ局、ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)のオフィス。
ここでおこなわれる、さまざまなアーティストの演奏がYouTubeで配信されており、これまで公開された動画は630本以上。総再生数は20億回超えの超人気企画になっています。
人気アーティストが本棚の前で演奏
これまで、「Hello」が世界的にヒットしたシンガーのアデル、ストリーミング・サービスでの無料配信のみでグラミー賞を受賞したラッパーのチャンス・ザ・ラッパーなど、ジャンルや国境を越えてさまざまなアーティストが出演。
90年代に小沢健二とともにフリッパーズ・ギターとして一世を風靡したコーネリアス(小山田圭吾)も日本人として初めて出演しています。
現在最も再生回数が多いのは、LAで活動するシンガー/ドラマーであり「フジロックフェスティバル2018」でもメインステージに出演したアンダーソン・パークで、視聴数は2,300万回以上。
パフォーマンスはNPRのオフィスの一角でおこなわれます。ステージとして使うにはかなり狭いスペースですが、演奏自体は本格的。背後に映る雑然とした本棚も、インテリアとしていい味出してます。
こちらは、先ほど紹介したアデルが出演したときの映像。普段は大人数のバックバンドを従えている彼女ですが、ここではギターとキーボードの2人のみ。彼女の歌声をぜいたくに味わえる動画となっています。
音楽とアート、テクノロジーなど融合させ、日本も含めた世界中でツアーを行うブルーマン・グループも。オリジナル楽器を使った演奏と、観客を巻き込んだパフォーマンスで異彩を放っています。楽しそうなオーディエンスの姿も見えますね。
オフィスという一風変わったロケーションでありながら、本格的なパフォーマンスが観られることが、人気の理由になっているようです。
きっかけは「音楽が聴こえない」という不満から
動画の初配信は2009年のこと。
とある音楽バーで「客の喧騒で音楽が聴こえない!」と不満を持ったNPRスタッフが、バーで演奏していた音楽家を招待し、オフィスでライブを開催。その模様をYouTubeで配信したことが、人気企画の誕生につながったのです。
よい音楽には、豪華な機材も、大きな会場もいらない。すばらしいミュージシャンと愛のある聴き手がいればそれでいい。そんなことを考えさせられる、素敵な企画です。
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