「口パク=悪」はもう古い?「リップシンク」はれっきとした表現技法である
2018/12/15 コラム
リップシンクって?
音源にあらかじめ録音された歌に合わせて、口を動かすことは「リップシンク」と呼ばれています。反射的に「口パクかよ」と思う方もいるかもしれませんが、昨今はリップシンクが新たな表現技法として定着しつつあるのです。
声にエフェクトをかける都合上リップシンクせざるを得ない音楽性のアーティストの存在のほか、誰でもリップシンク動画をかんたんに作ることができる「TikTok」が流行したこともあり、近年はパフォーマンスの1つとして認知されてきています。
海外でもリップシンクは浸透しており、これを取り入れた新しいパフォーマンスも生まれていることをご存じでしょうか?
ここでは、リップシンクにまつわる現代的な表現について解説します。
海外では当たり前!
海外では著名なアーティストも、リップシンクを多く取り入れています。特にアメリカでは人気俳優や歌手がパフォーマンスするテレビ番組『リップシンク・バトル』も人気となりました。
映画『プラダを着た悪魔』や『オーシャンズ8』に出演したアン・ハサウェイもこの番組に出演し、大胆な衣装で歌手のマイリー・サイラスのMVをコピーしました。
自身の清楚なイメージを裏切る、刺激的なステージです。
日本でも、渡辺直美がビヨンセのものまねでブレイクしました。
コミカルなリップシンクで本場ニューヨークでの公演でも観客も熱狂。
こちらの映像はAIとコラボレーションしたときのものです。
そしてアイドルグループ、TWICE。
サビに入ると、マイクを離して「TTポーズ」を披露します。
生歌でないことは明らかですが、これもリップシンクを使ったパフォーマンスの一種として受け入れられています。
続いては応用編。
このアリアナ・グランデの映像では、サビのパートでリップシンクと同じく録音された歌が使用されています。しかし、それに対して生声で歌ったり、ハモったりすることで、メロディの存在感を強調。と思いきや、歌わずに観客をあおったりと自由度の高いステージです。
さまざまな技術が発達した現代では「歌う」ことさえも、選択肢の1つでしかありません。今や、リップシンクや同期を使ったパフォーマンスが当たり前になりつつあります。これを「口パク」や「カラオケ」ではなく、新しい表現と捉えると、ライブの見方がひと味変わるかもしれません。
(小池直也)
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