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まだ間に合う! ドラマ『獣になれない私たち』を楽しむための5つのポイント

日本テレビで毎週水曜日に放送されているドラマ『獣になれない私たち』(通称『けもなれ』)が話題です。

現代を生きる人々の苦悩をリアルに描いたストーリー、クラフトビールバーでのおしゃれな会話、そしてガッキーの天使のようなかわいさ……などなど、多くの要素で人気を集めているこの作品。

この記事では、これまでのおさらいを含めたドラマの魅力や、ドラマの世界観を広げてくれる主題歌・挿入歌についても解説します!

『逃げ恥』の野木亜紀子と新垣結衣が再タッグ

2016年に放送され、社会現象にもなったドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で脚本を手がけた野木亜紀子と、この作品で主演を務めた新垣結衣が再タッグを組んだ『けもなれ』。

その他にも『カルテット』(TBS系)で別府司役を演じた松田龍平や、おっさん上司と年下イケメン後輩の間で揺れる若者をコミカルに描いたラブコメ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)で再ブレイク中の田中圭など、人気・演技力ともに申し分のない面々がメインキャストを演じています。

「獣になれない」主人公たちの苦悩を描く

『逃げ恥』のイメージもあり、コミカルで笑える作品を予想していた人も多かった『けもなれ』。しかし、いざ始まってみると、主人公・晶ら登場人物たちはそれぞれなかなかヘビーな背景を抱えていました。

例えば新垣結衣演じる主人公・晶と、その恋人の京谷のキャラクター設定を、一部ネタバレありでご紹介すると……

・深海晶(新垣結衣)
ECサイト制作会社で働く、「全方位に気を遣うすり減らし女」な主人公。職種は営業アシスタントだが、どんな仕事も卒なくこなすせいで、社長の九十九(山内圭哉)からは営業・企画・泊まるホテルの予約・秘書業務・後輩の指導、クリエイティブ……と、あらゆる仕事を押し付けられている。実は父親がDV男。高校の時に事故死したが、その後、母親が母がマルチ商法に手を出し、父の保険金や自分の貯金を勝手に使ってしまい、数年前に縁を切っている。

・花井京谷(田中圭)
大手デベロッパー「樫村地所」勤務の晶の彼氏。30代の若さでマンションを購入している堅実さ、誰にでも別け隔てなく接する優しさを持っている一方、それがアダとなって「いつまでも働こうとしない元カノ」の朱里(黒木華)に5年間も居候されてしまっている。女子会でちょいちょい出る格言「誰にでも優しい人は、結局誰にも優しくない」を絵に描いたような男。

ちなみに、晶は「樫村地所」に以前、派遣社員として来ており、ふたりは仕事をともにするうちに仲良くなり、晶の退社後に交際に発展。しかし、晶にも以前、なかなか仕事が続かない男と交際していた過去があり、京谷とはその話を通じて「お互い大変だね」的な感じでお酒を飲みながら盛り上がっていました。

だからこそ、晶も京谷に強く出られない……という状況なのです。うーん、切ない。

色気あるオトナの会話も魅力

しかし、本作はただシリアスでリアルなだけではなく、物語の舞台のひとつであるクラフトビールバー「5tap」を中心に繰り広げられる軽妙な会話も、とても魅力的です。

例えば第4話で、京谷に浮気され傷心状態の晶と根元恒星(松田)が織りなした、恋が始まりそうで始まらない駆け引き。自分の事務所につくと、恒星は晶ににじり寄って肩に手をかけ、髪をかき分けながら顔を近づけようとします。すると、晶は思わず、顔を遠ざけて「こういうとき、キスするの…?」と質問。

浮気の仕返しという流れで恒星の事務所に来た晶。真面目な彼女の中には「キスは好きな人とだけするもの」という考えがあり、思わず尋ねてしまったのでしょう。

すると、ソレに対して恒星は「礼儀?」と、彼らしいトボけた返答。笑いを交えながら次第に打ち解けていったふたりは、京谷と、恒星が最近まで付き合っていたらしい呉羽(菊地凛子)の話を続けます。目の前にいない相手のことを話しながらも、そうやって晶と恒星はお互いのことを少しずつ知っていくのです。

このように、オトナなやり取りも魅力な本作は、ヘビーかつリアルな設定で切ない気持ちになりながらも、その先で笑いや恋のトキメキを感じることができるという、深みを持った作品に仕上がっています。

作品にリンクした挿入歌

そんな本作の世界観を盛り上げているのが、毎回絶妙なタイミングで流れてくる挿入歌。しんみりとしたシーンの中で響く、力強くも哀愁をにじませた男性ヴォーカルと、優美なピアノの旋律に、思わず胸の柔い部分が傷んだ人も多いのでは?

この楽曲の名前は『まっしろ』。歌っているのはビッケブランカという男性アーティストで、本作のために脚本を読んでこの曲を書き下ろしたそう。

「冷たさが吹いてきた 悲しみがこみあげてきた 降り積もったすべてよ 時間を超えてよ」
「そして今までなんてなかったように はじめていこう」
「別に言うことなんてない 言ってもいいことなんてない」
「人知れず黙り方を覚えた」

振り返れば毒親から始まり、さまざまな苦労を経て、すっかり自分の本音をなかなか周囲に吐き出せない性格になってしまった晶。『まっしろ』では、そんな彼女の心の叫びが描かれている一方、「そして今までなんてなかったように はじめていこう」と、今後を力強く生きていこうとする意思も感じさせます。

「空気を読む」という言葉がこれほど一般的になった昨今。多くの人が晶と同じように、「全方位に気を遣っている」ワケで、そう考えるとこの『まっしろ』は晶の応援歌であるとともに、厳しい今を生きる我々の応援歌と言えるかもしれません。

あいみょんが歌う主題歌『今夜このまま』にも注目

また、あいみょんが手がける主題歌『今夜このまま』も、ネット上で大きな話題になっています。

「消えない想いは軽く火照らせて飛ばして 指先から始まる何かに期待して」
「泳いでく 溺れてく 今夜はこのまま 泡の中で眠れたらなぁ」

『ふたりの世界』では「行ってきますのキス お帰りなさいのハグ おやすみなさいのキス まだ眠たくないのセックス」と、軽やかに性を描写し、若いリスナーを唸らせたあいみょん。『今夜このまま』はより官能的な表現となり、こちらは晶と恒星の恋と呼ぶのにふさわしいのかあやしい、しかしだからこそ妖しく危うい関係性を暗示させているかのようです。

 

このようにして、作品の世界観をより深くしている挿入歌と主題歌。楽曲に注目して観てみると、ドラマ本編もより深く味わえるのではないでしょうか。

Writer
岡本 拓

1990年生まれのネットニュース記者・ライター。「しらべぇ」「週刊プレイボーイ」「月刊サイゾー」「いぬのきもちねこのきもちweb」「浅田真央サンクスツアープログラムブック(対談企画構成)など。

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